トレジャーイベント関連:The Mycorrhizal Mystery (翻訳)

Treasure of Fay Wrathで各ページ入手可能な伝承の書(標題日本語:"菌根の秘密")の翻訳です。5/8 大和非公式大和評議会(仮)用手元資料で拙い翻訳ではありますが、ご興味のある方はご一読頂ければ幸甚です。

 

#1

普通のウサギが色鮮やかな卵を産むという話を初めて聞いた時、私は全くナンセンスな話だと切り捨てました。それは、道化者が周りの人達の笑いを取ろうとしようとするような戯言に過ぎないと思いました。だって、ウサギが卵を産む訳が無い事は、教養のある人なら誰でも知っていることですから。

しかし、私の思い違いでした。ブリタニア各所で発見される卵の色は大変鮮やかなだけではなく、ウサギ自身の色もまた変化を始めていたからです。そして、遂にムーングロー動物園では、これらのウサギは実際に卵を産んでいると判断しました。

 

#2

 

このニュースに市民達は熱狂しました。そして、ウサギ達を捕獲して、各自の鑑賞の為に沢山の種類の卵を集めるようになりました。更に、商人達ですら、お店を開いて自分達の大切な品物や持ち物をそれらの卵と交換する事を始めました。

 

しかしながら、スカラブレイのレンジャー達が、他の動物達も卵を狙っている事を発見した時に、私達は何かが進行中であることを知るべきでした。これらの卵の近くにいる動物達は、卵に魅了されて異常な行動パターンを取るようになっていたようですから。

 

#3

スカラブレイのレンジャーズ達は、これらの動物達の移動経路を追跡しながら、北の山々の奥深くに到達しました。そして、これらの動物たちの奇妙な動きは、人里離れたウィンドの魔術師達の注意をも引きつけました。

しかし、これらの動物達に近づこうとすると、普段はおとなしい動物でさえも非常に攻撃的になるのです。どうやら、動物達を引き付けている何かが、それが攻撃的であるのと同様に、動物達を攻撃的にさせているようなのです。

 

#4

ウインドに隣接した山中で動物達が集結するとの噂が広まると、市民達は大挙して押し寄せて、自分達のコレクションの為により多くの卵を集めようと動物達の殺戮を始めました。

 

このような野蛮な行為は、妖精(フェイ)の女神アルティオを呼び覚ましました。アルティオはこの殺戮を止めるためにウィンドに降り立ちました。しかし、アルティオは市民達に圧倒され、アルティオが守ろうとした動物達と共に一緒に殺されてしまいました。

 

#5

一体なぜこのような事態となったのでしょうか?
一体なぜ普通のウサギが突然変異して、普通の動物達がウサギ達の卵に魅了されたのでしょうか?

 

ウィンド出身のゼディカスというメイジは、卵には魔法が掛けられている事を突き止めました。そして、その魔法はレルヴィニアンにしか掛けられない事も分かりました。しかしながら、ヘッジメイズとレルヴィニアンの古い工房を調査したものの、貴重な情報は得られなかったようです。彼の工房は、彼が国王陛下の前で失態を犯して姿をくらませて以来ずっと放置されたままとなっていました。

 

#6

ところが、その工房の裏側では発見がありました。非常に珍しい色と大きさのキノコが大量に生えていたのです。そのうちの一つのキノコは、家程の大きさで不自然な色に光っていました。その様子を確認した一人の熱心な冒険者が、「このキノコの突然変異は今回の異常事態と何か関連性があるのか?」詳しい事を教えてくれる人を探すためにこのキノコのサンプルを採取しました。

 

#7

キノコのサンプルは、私の古い友人で有名な菌類学者のリーランドに持ち込まれました。リーランドは、イルシェナーのTwisted Wealdの近くで菌類の研究している学者ですが、彼程の博学の者でさえ、そのキノコはこれまで見たこともないようなもの、と判断しました。これまで何千種類ものキノコを見てきたリーランドにとって、このキノコは非常に重要な研究対象ではありましたが、同時に不安が掻き立てらるものでした。なぜなら、そのキノコには、不思議な装飾が施された卵と同じ魔法が掛けられていたからです。

 

#8

調査を進めて行くと、この魔法は、ヘッジメイズでのレリビニアンの実験の副作用として、意図せずに発生した事が判明しました。その地域に生息する菌類は、菌根を形成して他の植物と共生関係を結びながら、魔法を吸収するようになっていました。そして、これらの菌糸体はその地域で出現するようになり、他の植物や木の根に絡みつきながら、更に多くのキノコを作り出していきました。そんな大地の状況とはつゆ知らず、冬眠から覚めた動物達はこれらの植物やキノコを食するようになっていました。

 

#9

動物がこのキノコを食べるだけでなく、チャレンジ精神旺盛な市民達は、このキノコを使用して、通常では決して得られないような結果を得ていました。ある園芸家はキノコを粉末にして植物に与えてみたところ、その植物は驚異的な成長しました。あるオウムの飼育係は、新種のオウムを作るための受精卵としてキノコを利用しました。ある鱗翅目(りんしもく)学者もまた、このキノコの産地近くで育てた蝶には、驚くべき体面と色彩が出現した事を発見しました。

 

#10

単なる菌類が、これほどまでにブリタニアの地を変えることができるとは、本当に信じられない事です。非力な菌類にこれほどまでの力があるというのであれば、意思を持った人間が何事かを行おうと意図した場合には、どの位の事ができるのでしょうか?

 

リーランドが彼らに魅了されるのも無理はありません。私は人生の大半をメイジとして過ごしてきましたが、菌類や菌糸類、菌根の複雑な仕組みをすべて理解したふりをするつもりは全くありません。ただ、まだまだ謎だらけという事が理解できたのみです。

 

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