ルナ銀行脇に設置された本棚より入手できるロールブックの翻訳です。2/18(金)大和/北斗EMミニイベント内で言及されていた内容でした。ロールブックは2022/3/12(土)迄の配布との事です。公式訳の発表迄の速報/当座版としてご参照頂ければ甚幸です。
※ Food Tasterという単語は、以下の日本語訳があるようです。本記事では”毒見役”を採用しました。
#1:
国王陛下の忠実な宮廷道化師である私は、かつて陛下のお毒見役が愛を見つけるのを助けた事があります。クレイグ卿は勇敢な騎士でしたが、敵のメイスで頭を殴られて目を負傷してしまいました。そして現在は、勇敢にも食卓で奉仕を続けておられます。
おおやけには、ブラックソーン陛下は洗練された味覚の持ち主と認知されているようですが、世の中には食べ物の好き嫌いが少ない子供達がいるものです。陛下もまた好き嫌いが少なく、そして子供のような純粋なお気持ちの持ち主です。
クレイグ卿はお毒見役なので、しばしば夕食を二度食べなければならない訳ですが、国王陛下は厨房方の気持ちを察して2度も食事の支度をさせる事はありません。
#2:
お毒見役はメイドのノラの歌声に惚れ惚れしました。クレイグ卿はまだノラを実際に見たことがなかったのですが、彼女が痩せっぽち系なのに対して彼はふっくら系と、二人のバランスは絶妙でした。
今やお毒見役をしているクレイグ卿を見て "プリンの騎士 "というふざけた名前で呼ぶ愚か者がいたかもしれないと思うと、クレイグ卿が段々可哀そうに思えてきました。それで私は二人の恋愛を手助けしたいと思ったのです。
そんな私の様子に気が付いた国王陛下でしたが、果たして私が二人を結び付けられるか?と懐疑的でした。私は答えました "愛は魚で人を殴るよりも複雑ではない筈ですから大丈夫です"
#3.
国王陛下は、お城で最も活気のある社交場となる仮面舞踏会を主催しました。毎年2月は憂鬱な季節ですが、仮面舞踏会となれば城内で働く者達全員が参加して、ダンス、音楽、ワイン、そして求愛を楽しむことができます。私の計画にはぴったりでした。
陛下の太めのお毒見役を、ミステリアスな雰囲気の”バレンタインのリカルド(ハートのリカルド)”に変身させて、私が教えた歌を歌わせる。そして、"私のお腹で跳ねて "と歌えば 誰しもがうっとりするはず。そんな計画を考えていました。
そして、計画の仕上げとして、ノラが好きな花、珍しいユーの森のすみれを見つける事ができました。
#4.
その花は、私の友人でもないある貴族の冬の庭に咲いていたものです。このような状況をちゃんと説明すれば、彼がこれまで私を誤解していた事を告白して、このシーズンで取れる一番素敵なすみれを私にプレゼントしてくれたのかもしれませんが、私にはそんなことをしている時間はありませんでした。
その代わりに、私はチーズの輪切りを使って、ブリテイン中のネズミを庭におびき寄せたのです。彼がネズミを追い払っている間に、私は花を見つけ、一握りずつ摘み取りました。 "下品な馬鹿野郎 "(貴族)が庭の鉢植えにきっちり水やりをしていたお陰で、私は瑞々しいすみれを摘み取ることができました。
#5.
花を手にした私達には、仮装の為の衣装が必要になりました。少しばかり手を入れなければならないのが分かりましたが、衣装は古い鎧に決めました。国王陛下のワイン箱を使って鍛冶屋を雇い一晩中鎧を叩いて貰いました。その鎧はスープ椀の形になりました。
その為、ヘルメットの部分の調整時間がなくなりました。ヘルメットはクレイグ卿の頭に引っかかってしまいました。ヘルメットの形はクレイグ卿の声を歪ませました。
このような準備を経て、クレイグ卿が私の洒落た作品を使ってメイドに愛の告白した訳なのですが、案の定・・その声は歪んでいました。そして・・メイドからは”ネズミ顔の詐欺師 "と罵られてしまいました。
#6.
私はメイドと話をしました。私がお毒見役の事を尋ねると、ノラは顔を輝かせました。
何年か前、クレイグ卿がお腹をすかせたオークから彼女の子犬を助けたことを話してくれました。そんな騎士道精神に心を打たれた彼女の中には騎士への愛が芽生えていましたのでした。そこで、私は彼女に胸の内をお菓子を食べながら告白してはどうかと伝えました。クレイグ卿が好きな「グッド・イーツ」のアップルタルトでも食べながら。
そして、とうとうその時が訪れました。彼女はとても恥ずかしがって黙っていました。一方では、近視のお毒見役は彼女だと気づかなかったのです。なんという展開!私がお馬鹿なのか!?
#7.
その後、クレイグ卿は落ち込んで夕食に来られず、ノラは自分の部屋に閉じこもってしまいました。国王陛下は私を引き留めて言いました。「お前は私の毒見役を傷つけたね。今夜は彼の代わりに食事をしなさい」
いやだ!恐怖だ! 私の妖精のようなほっそりとした体型が!
その食事は、私が嫌いな食べ物のオンパレードでした。イワシから、小さなキャベツに似たもやしのようなものまで。国王陛下は、私がそれらの食べ物を弄ぶのを嫌がりました。さらに悪い事には、それらの料理は乾燥していました。何故かテーブルには私の苦痛を和らげるワインはありませんでした。
#8.
脂っこいプディングの後味と酔いのショックで眩暈がしました。その後、私は恋人同士になるはずの二人を同じ部屋に呼んで叱りつけました。「ケールのことで私は色々あったというのに、あなた達ときたら!」クレイグ卿とノラは私を笑い、話を始めました。
そして1カ月後、彼らは結婚しました。スープ椀形の鎧は、私がプレゼントしたものです。私の重要性を再認識してもらうために贈ったものです。
そして、私は二度とロマンスには関わりあわない、と国王陛下と約束しました。
「愛は吟遊詩人と愚か者のためのものだ」
私はこの言葉を繰り返して行くでしょう。
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